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超高感度域のジレンマ

2011年10月16日 00:00

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Pentax K-5, SMC DA17-70mmF4AL

※ブログに視覚要素を加えるlightboxを導入しています。上記画像をクリックすると少し大きな画像をポッ,プアップして見る事が出来、暗くなった部分をクリックするか、画像下部のCloseをクリックすると元に戻ります。また複数枚の掲載の場合、写真上の左右をクリックすると画面が遷移します。



フィルム時代、一般的に高感度と言われるフィルムはISO400、ISO800で、ISO1600からのフィルムは超高感度フィルムと呼ばれていた。だからデジタルになった今も超高感度はISO1600からの事を指す、そう定義して話を読み進めて頂きたい。

この超高感度の画質に関しては何が良くて何が悪い、これが各カメラマンの主観によるものが大半を占め、一概に判断する事が出来ない。

フィルムを、それも超高感度フィルムを使った事がない、もしくはフィルムは使っていたが粒子が目立つような大きなプリントを経験した事がない人、こういう方はデジタルになってからの超高感度域のノイズに非常にシビアで煩いらしい。

価格.comやその他のユーザーレビューサイトを見ていてびっくりしたのだが、K-7やK20Dの画質についてISO400までしか認めない、ISO800が許容範囲、そんな方が結構いらっしゃる。目を疑った。へっ?、K-7もK20Dも超高感度域のISO1600でもフィルムと大差ないノイズじゃないか!、何故彼らはそれを許せないのだろうか?。

ここが主観の恐ろしいところ。写真の好き嫌いと同じく、主観で物事を判断している場合、幾らこちらが理詰めで説明しても、それを受け付けない。

「今はデジタル写真の話をしているのだから、フィルムの超高感度の粒子の荒れなんて関係ないよ、写真にノイズが乗るなんて信じられない!」

なんて言われたらどうしようもない。それぞれ写真に対する思考が異なるから、余程の大先生が現れて「写真の本質とはこれこれこういう事だ!、おまえみたいな馬鹿がいるからカメラメーカーは無駄な努力をするのだ!」とでも言わない限り、こういう方を説得するのは無理なのだ。

でも反論する余地は少しは残っている。まずノイズ云々に煩い方は恐らくパソコンのモニターで等倍鑑賞をしているものと思われる。等倍鑑賞なんてしたら、超高感度域が大得意のPentax K-5でもISO6400ですでに不快になるくらいのノイズが出てしまう。これを理解して欲しい。

でも実際にプリントすると意外とその手のノイズって目立たない。A4程度の大きさだったらK-5ならISO25600でもしっかりとノイズリダクション処理を施せば問題なく使えるレベルだ。

K-5が発売になった昨年、新宿のPentaxフォーラムでK-5で撮影された写真展が開催された。確かB1かB0サイズ、長辺が1メートル前後の写真でISO12800くらいの写真が多く展示されていた。勿論、それを30センチくらいの距離から目を凝らせば、何だよ、ノイズ出ているじゃないか!、と感じるが、その手のサイズとなると1メートルくらい離れて見るのが常で、そうなると人間の目のいい加減さ、ノイズが気にならない。

10月5日の写真をご覧頂きたい。これは高感度が弱い、ISO800でも不愉快なんて意見もあるK-7でISO3200で撮影している。下にその一部分をJPG撮って出し、レタッチを一切していない画像の等倍で切り出してみた(600万画素からの)。



参考写真

これをパソコンから1メートルくらい離れてご覧になると如何だろう?。10月5日の写真はA3ノビくらいまで伸ばしてもそこそこ鑑賞出来るのではないかと思う。

勿論、もっとノイズを減らす事も出来る。K-7に付属するRAW現像ソフトでもPhotoshopのプラグインのCamera RAW、はたまたLightroomでも十分にノイズを軽減出来る。

私はこの写真に関してならPhotoshop CS5本体のフィルター処理の「ノイズを軽減」を使う。このCS5のノイズフィルターはphotoshopの本機能だから、他の処理と合わせて利用出来るのが利点。まずマスク処理を行う。ピントの来ている部分のディテールは残したいからその部分をマスクし、マスクされていない部分だけにノイズリダクションを掛けるのだ。

加えて、同じくフィルターの「輪郭以外をぼかす」を使うと、輪郭、つまりピントの来ている部分以外のノイズを減らしてくれる。これで限りなくディテールを失わずに全体にノイズを抑える事が出来、しかも背景や前景のボケている部分はノイズリダクションの副産物としてよりボケてくれる。それを部分的に等倍で切り出したのが下の2枚の写真。最初が背景部分、次がピントの来ている線路部分。



参考写真



参考写真

如何だろうか?、これくらいなら1メートルと言わず、50センチくらいの距離で見てもさほど違和感を持たないと思う。

K-7やK20Dはこの手の暗くても光が全体に回っていて、ごちゃごちゃしている風景であったらノイズはあまり目立たない。それは恐らく他社のカメラでも同じだと思うし、コンパクトデジタルカメラでもISO800くらいならノイズリダクション処理を施せば及第レベルまで仕上げられると思う。

増してやA3ノビよりも小さい、四つ切、六つ切り、A4・・・、その手のサイズだったら余程の古いデジタルカメラじゃない限り、ノイズが気になって写真鑑賞どころじゃないなんて事はないと思う。パソコンで等倍鑑賞するのは各人の自由だが、それを元にノイズがど~のこ~なて公の場で言っちゃいけない。写真の成果物はあくまでもプリントなのだ。

しかしA3ノビまで伸ばすとK-7、K20Dだとちょっとなぁ・・・、そんな風景も当然ある。それは光が全体に回っていない、構図上に輝度差が多くあるような風景。例えば日没直後の路地裏、街灯で照らされている部分はそこそこ光が回っているが、そこを離れると多くが影になっているような風景。

ノイズが一番目立つのはのっぺりとした風景で、明るさがグレーから黒になっていく部分。特にK-7ではこの手の風景ではシャドー部がやたらに粘ってしまうので、そんな風景で手前の影の部分にコンクリートの塀なんてあったとしたら、そこにはとんでもないノイズが出てきてしまう。

室内写真でもそうだ。卓上ランプ一灯で奥さんや恋人を超高感度域で撮ったとする。ランプが照射されている側は問題なく綺麗に再現されるが、陰になった部分はもう駄目。奥さんが椅子に座っていたら椅子下の床部分はノイズ出まくり、汚いったりゃありゃしない。

ただこれはカメラだけを責めちゃ可哀想だ。日没後の路地裏なら一脚や三脚を用いてせめてISO800まで感度を落とすべきだし、室内の撮影でも人物、特に女性を撮影するのだったら低感度ISOで撮影するのは基本だ。光量が足りなかったら、ストロボを利用してスローシンクロを使った方が良い。

デジタルカメラが進化して我々は簡単に超高感度域での撮影が可能となった。でも先ずはカメラに頼らずに撮影者がどうやったら綺麗に写す事が出来るだろうと考える必要があると思う。K-5でもNikonのD7000でも、はたまた今一番超高感度が強いと言われているNikon D3Sでも、安易に超高感度域は使わない方が良いと思う。

私自身も、将来、K-5を購入しても簡単にISO3200以上を使おうと思わず、一脚を出動させたり、色々と工夫する努力を怠らないように肝に銘じなくちゃいけないな~。

そんな誓いを立てていても本日の写真。借り物K-5のISO4500で撮影している(笑)。この手のシャドー部が多い風景ではノイズは相当目立つものだが、K-5のISO3200はK-7、K20DのISO1100くらいに相当しているかもしれない。

それだけSonyセンサーの質が良いのだろうし、文献を漁ると本家Sony α55の超高感度域での写真よりもK-5の方がノイズが少ないとの事で、これはPentaxのソフトウェア部門、K-7でケチョンケチョンに非難されたものだから、かなり頑張ったのではなかろうか?。

気になるのはやはり同じセンサーを利用していると言われているNikon D7000。このカメラのノイズリダクション処理もWEBで様々なレビューが像を見る限り、非常に好ましい。中には大袈裟過ぎるなんて意見もあるが、しっかりと写真らしい絵になっていると感じる。

しかもK-5にはない機能が盛り沢山、特にAFに関しては「欲しい!」と思わせる仕様になっており、ボディの大きさや、ボディ側に手振れ補正がない欠点を無視したらとっくにNikonに浮気していた事だろう。


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コメント

  1. うっしー | URL | PQ3IL3Iw

    GX100を今でも使っていますが、高感度域はおろかiso400でもうザラザラなので、
    発売当初から「これも味だと思って使って…」というコメントがあちこちで見られました。
    ぼくは「味として」使いこなす自信はないので、iso200までしか上げずに使ってます(笑)

    フィルムカメラを経ずにデジカメを手にする人は今までどころでなく増加するにつれ、
    等倍で観察なさる方もますます増えると思いますが、どれくらいの方が「等倍」で見る
    必要のある写真をプリントするんだろう?と考えたりしました。また、モニターの中で
    見るにしても、そのレベルで写真全体は見ることはできないのでは?とも。

    ノイズばかりを気にして、撮った写真を顧みない「木を見て森を見ず」みたいなことが
    起こると、カメラの作り手もユーザーも幸せになれないような気がします。

  2. BigDaddy | URL | -

    > うっしーさん

    仰る通りGX100のノイズってちょっとひどいですよね。ノイズと言うより「傷」です。ノイズに寛容な私でもISO150を超えるとちょっと嫌になりますねぇ。なるべくISO80を保持して、夕方は「どーかぶれませんよーに」と祈って写真を撮っていますよ。

    パソコンで見る写真って「画像」なんですよね。画像に対してノイズがどーのこーの言ってもしょーがないと思っています。GX100にせよ、ISO400くらいで撮ってモノクロでプリントすると、「味」として写真鑑賞できますしね。

    1500万画素前後のカメラの場合、パソコンで等倍で見ると、感覚的にA1とかB1くらいのサイズですから、そりゃぁノイズなんて丸見えですよね(笑)。

    確かにひどいノイズになる事もありましょう。まさに仰る通りで、ブログ用と割り切ったり、仮に写真展を開催するにせよ、A4や六つ切り、はたまた2Lサイズで写真を見せても良い訳ですよね。見せ方も判らない人達が等倍画像を見てノイズ云々はやっぱり違いますよね。

  3. ハッセルじいちゃん | URL | lalX43Vc

    この画面構成 とてもいい感じです。
    写真内容にもよりますが、昨年辺りからノイズを歓迎するようになりました。

  4. BigDaddy | URL | -

    > ハッセルじいちゃんさん

    ありがとうございます。

    街撮り写真はノイズが気にならない事、多いですよね。RicohのGX100のように明らかにしょ~もないノイズでもモノクロ化すればなんとかなりましょうし。

    ただ、流石に私も自然風景、ネイチャー写真ではノイズがない方が良いですねぇ。空にノイズが出るとちょっとガッカリしますし。

  5. vevey | URL | EN3tItPk

    初心者丸出しの質問ですみません。
    暗い場所で感度を上げて撮影しようとするとピントが合わないことがあるのですが、そんな場合の何か良い対処法はないでしょうか?

  6. BigDaddy | URL | -

    > veveyさん

    どうなんでしょうねぇ。感度は関係ない気がします。撮影中にピントが合わないのなら単にAF性能が劣っているだけだと思いますし、出来上がった写真のピントのキレが悪いとなると、今度はカメラのセンサーもしくはレンズの解像度が悪いって事になるんだと思いますが、私もその辺はあまり詳しくは無いです。

    また、カメラによって赤い光ってAF精度に問題が出るようで、赤い風景や、室内などで赤っぽい光の時はAF精度が悪くなるようです。K-7では暗い場所ではかなり精度が落ちますし、K-5でもそれは結構報告されているんですよ。

  7. vevey | URL | EN3tItPk

    なるほど。暗い所での撮影は、初心者用のカメラには荷が重いようですね。ありがとうございます。

  8. BigDaddy | URL | -

    > veveyさん

    お役に立てませんでした。

    veveyさんがどんな機材を使われているのか判りませんが、一眼レフならMFにして置きピン、予めピントをおおよその位置に合わせ、被写界深度の深い広角レンズを用いて、なるべく絞り込む・・・、撮影中にピントが合わない場合はこの方法しかないと思います。

    解像度によって合っているように見えないのだったら、もしくは高感度撮影でノイズが発生し、ディテールが奪われているのなら、機材を変えるしかないかと思います。

  9. vevey | URL | Sdnuhvz2

    確かにMFのことを完全に忘れていました。置きピンにトライして、距離感覚をつかむ練習をしたいと思います。

  10. BigDaddy | URL | -

    > veveyさん

    一番良いのは(私は面倒でやりませんが(笑))、三脚を立てて、シャッタースピードが遅くなっても被写界深度が深くなるようにレンズを絞り込んでおおよその位置に置きピンって事になるのでしょうね。

  11. のこのこ | URL | JalddpaA

    はじめまして

    ペンタックスの古いレンズを使いたくて、手頃なお値段のK20、K-7のことを調べていて
    こちらの記事をとても興味深く読ませていただきました。

    高感度ノイズについてはいろいろな評価があるようで正直気になるのですが、
    最新機種はどんどん改善されてゆくようで、気にしだすと次々新しい機種が欲しくなってしまいますね。
    モニターで拡大すると汚く見えても、プリントではせいぜいA4程度までなので、高感度ノイズを気にしないなら
    二万円から三万円台で買えるこのクラスはコストパフォーマンスが高いと思うのですがいかがでしょう…
    さらに安価なK10やK200など含め、いろいろと検討中です(*_*)

  12. BigDaddy | URL | -

    > のこのこさん

    お立ち寄り、そしてコメントをありがとうございます。もしお読みでなければ下のK-7カテゴリーをご覧になってくださいませ。

    http://bigdaddyphoto.blog41.fc2.com/blog-category-11.html

    仰る通り、個人差はありましょうが、K-7でもA3くらいまでのプリントなら、余程、グレー部分が多い風景でない限り、ノイズはあまり気にしなくても良いと思います。但し、本気で高感度を使われる場合は、AdobeのLightroomとセットでないとノイズは消えてくれない、そう思って頂いて良いと思います。

    私個人はMFレンズ、それもM42や、電子接点のないKレンズであった場合は、上のカテゴリーのどこかに書いたと思うのですが、絞込み測光時(ハイパーマニュアル)の露出連動範囲が広く、ファインダーが見やすいK-7をお勧めしたいところです。

    人によってはCMOSセンサーよりも高感度を捨ててまでもCCDが良いと言う方もおられますので、そうなると、書かれている通り、K10、K200が選択肢に入るのでしょう。

    K10DやK200は発売から5年が経過しますから、あと数年で部品の調達が困難になる可能性もありますが、ボディそのものがさほど高くはないので、壊れたら捨てる、そんな使い方でも良いのかなとも思っています。

    Pentaxの場合、中古で購入したら、お店の保証期間中、(むしろ買ったらその日にでも)Pentaxサービスにカメラを調整に出されて下さい。ブレ補正機構が他社と異なるせいか、その辺に不具合が出ている事が多々あるようです。

  13. のこのこ | URL | -

    ありがとうございます!

    詳しいアドバイスありがとうございました。
    他のページのK-7、その他のレビューもとても詳しく書かれてあり、旧レンズの露出性能など、私にはとても参考になりました。
    実際にかなり使い込まれていらっしゃるんですね。

    発売当時は10万円以上したカメラが、わずか数年で三万円そこそこで手に入る…魅力的ですが
    おそらく数年後には、さらに高性能なK-5も同じようにお手頃になった頃、また欲しくなるかと思います。
    私の用途ではK-7で十分満足できそうなので、状態のよいボディをなんとか見つけてみたいと思います。
    ありがとうございました。

  14. BigDaddy | URL | -

    > のこのこ さん

    参考になって幸いです。

    Nikon、Canon以外のメーカーは1年もしたら価格は下落する一方ですからね。MFレンズ専用カメラとしてはK-7は価格面も含め、最高だと思います。

    購入されたらくれぐれもPentaxサービスに調整依頼をされて下さい。中古の場合、センサーの傾き、水準器の狂い等、結構不具合のあるカメラが多いので。窓口からの調整なら無料です。

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