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雑談

2022年07月03日 00:00

前回記事の中で、ずっと「F2.8」と書き続けていたらふと、、、

「サンニッパ」

そんな言葉が浮かんできた。今日はサンニッパを中心とした雑談である!。

300mmF2.8、これの通称が「サンニッパ」。200mmF2.8は「ニニッパ」だし、400mmF2.8は「ヨンニッパ」、300mmF4となると「サンヨン」と表現するカメラマンが多い。

「サンニッパ?、ニニッパかサンヨンで十分だぜ!」

写真を趣味としない方は理解不能な文章だろう。これはかつての私の台詞である。

本格的に写真を趣味として始めたのは同年代のオッサンの中では遅い方、1990年代である。この頃、一部のカメラマンでサンニッパが憧れのレンズだった。一部ではあるが流行していたと言っても良いだろう。

何故憧れたのか?。まずスペックだ。300mmでF2.8、この数字を見ただけでスゲェボケそうでしょ?。そしてCanonは高級レンズの外観を白っぽくする。通称「白レンズ」である。白レンズは高級レンズの証なんだ。白塗装だと黒いレンズよりも熱に強く、多くは高級望遠レンズ。スポーツや野鳥、ポートレートと言った屋外での撮影が想定されており、だから熱を帯びない白色をしている。白レンズは目立つので持っていれば注目を浴びる。当然サンニッパも白レンズだ。

そしてでかい!。「大きいこそがステータス」、今も昔もそれを信じている種族がいる。

Camon Camera Museum - EF300mmF2.8L USM

フードを着ければ30センチに達し、重さも3キロ弱。大概のカメラマンはCanon EOS-1N(1NHS)にこれを装着していたろうから、カメラとレンズで3キロ以上!。この頃はまだレンズに手ブレ補正は搭載されておらず、手持ちでも撮れない事はないだろうが、大半のカメラマンは三脚を使っていた。でかくて重い機材を載せるので三脚だって馬鹿重い訳ですな!。

そんな苦労をしてまで何故使う!?。

「サンニッパでないと撮れない風景がある!」

サンニッパを愛用するカメラマンとは?。ポートレート専科、鳥専科、飛行機専科、スポーツ専科、この4種族が大半だろう。共通点は長焦点距離で明るいレンズじゃないと撮れない事。特に鳥、飛行機、スポーツとなると300mmでは足りない時があり、Canonなら1.4倍になるテレコンバーターで420mm、2倍で600mmで撮影するカメラマンも多かった。その際、1.4倍では絞りが1段、2倍では2段暗くなる。つまり420mmF4、600mmF5.6と言うレンズになる。

ここなんですなぁ!。サンヨンを使うと420mmF5.6、600mmF8になってしまう。一眼レフは光学ファインダーなのでレンズの明るさがファインダーの明るさに直結する。90年代は大半がAFカメラに移行していたので暗いからと言うだけで敬遠されてはいないものの、ファインダー内は明るいに越した事はない。

また、ISO3200は当たり前、カメラによってはISO6400でもゴージャスな絵を、いやいやISO12800だってもはや常用域!、そんな現代のデジタルカメラと違って一般的なフィルムはISO100~400であり、まれにISO800を使う人がいたくらい。ISO1600ともなれば物好きしか買わない。そうなるとレンズが明るくなくちゃシャッタースピードを稼げないんだ。三脚使用なのでカメラブレはしないが、被写体ブレに対応するにはシャッタースピードを上げないとならない。1段でも上げたいからサンヨンではなくサンニッパなんだ。

ポートレートでテレコンを付ける人はいないと思うし、動きの早い人物撮影なんてこの手のレンズで行わないのでサンニッパは不要に思えるかもしれないが、ポートレート、特に「美しい系」はボケ量に拘る人が多い。

ポートレートレンズと言えば85mm。しかしこのレンズに適しているのはバストアップだ。バストアップに構図してとろけるようなボケを期待出来る。ウエストアップとなると135mmが適している。となると全身のカットは200mm?、いや、そこで300mmになるんだ。

85mmレンズがポートレートレンズと呼ばれるのはワーキングディスタンスもある。程良い距離に人物をセット出来る。また85mmくらいになると不快なパースが付きづらく、人物、特に顔部分がデフォルメされない。広角~標準を使って敢えてパースを強調するような手法もあるが、特に女性、美しく写すのならば85~135mmがベスト。


ポートレート撮影は一にも二にもロケーションだ。背景をボカすだけなら背景が遠くにある場所で撮影すれば良いだけ。さすがに85mmレンズで全身を構図し背景をボケボケさせたいとなるとロケーション選びに苦労するが200mmだったら探せばどこにでも転がっている。でも「通ぶりたい人」、そんな輩が300mmを使うんだ。Canonだとニニッパは黒レンズ、でもサンニッパは白レンズ、白の方がカッコイイでしょ?。当然価格差もある。ニニッパは10万円、サンニッパは50万円なんだから!。

Canonには「ニイッパ」と言うレンズがある。そう、200mmF1.8だ。これは白レンズ。だったらサンニッパではなく、ニッイパでいいんじゃないの?。そう、その通り!。しかも先日も話したが、ボケは焦点距離よりもF値で決まると言っても良く、200mmのF1.8と300mmのF2.8では被写体を同じ大きさで捉えた場合、200mmF1.8の方がボケ量は大きい。

しかもニイッパの方が撮影対象の人物との距離が近くなり、モデルさんとのコミュニケーションも取りやすい。でも何故かニイッパを持っているカメラマンには出会った事が一度もなかった。何故?。

「サンダー平山!」

彼の影響が非常に強かったのではないかと推測している。1990年代、望遠レンズでポートレートを撮らせたらサンダーが一番だ!、そんな風潮があった。実際にはプロカメラマンが望遠レンズを使えば誰でも同じような写真を撮れる筈。しかしアマチュアが影響を大きく受ける、写真、カメラ雑誌に頻出していたのがサンダー平山なんだ。その彼が愛用していたのがサンニッパ。1990年代のアマチュアポートレーター界では、、、

「サンダーと言えばサンニッパだし、サンニッパと言えばサンダー」

なのだ。彼の影響を受けてサンニッパを手に入れたポートレーターは相当数いた筈。だからもし彼がニイッパを愛用していればニイッパが流行っていたかも知れず・・・。ただニイッパってのは特殊なレンズで今も昔もCanonだけじゃないかな、造っていたのは?。サンダーはCanonとNikonの両方を使っていたと記憶しており、どっちのシステムでも使えるサンニッパを愛用していたのだろう。

カメラ業界はサンダーに足を向けて眠れないんじゃないかと言うくらいサンニッパは売れていた筈。それなのにある時突然にサンダーが消えた・・・。写真雑誌などに登場しなくなったらしい。あくまでも噂の域を脱しないが、、、

「サンダーがEOSカメラの悪口を雑誌だかに披露したところCanonの上層部の怒りを買い、広告収入で成り立っている雑誌は彼の起用を避け、結果干された」

我々の多くはその話を信じていたりする。

「サンダーはサンニッパの営業マンだったのにそれを干すなんて、Canonのやり口は汚え!」

当時のアマチュアはみんなそう言っていたようだ。

これが真実かは定かではないものの、今でも日本の媒体、プロカメラマン、ライターは機材レビューにてメーカーに忖度しまくっているでしょう?。ひたすら褒める事しかない馬鹿ばかり。どうして海外サイトのように正直にものを書けないのか?。

でも彼らは馬鹿じゃないのかもしれない。サンダー事件が本当にあったとしたらそりゃぁカメラで飯を食っている人間はメーカーに逆らえないでしょう?。

「サンダー事件は本当に起こったんじゃないの?、一メーカーがプロカメラマンの人生を奪った」

そう思われても仕方がない。

さて、私も一時、ポートレート撮影にハマった。手に入れた望遠レンズはサンニッパではなくサンヨンである。今も昔も三脚大嫌い!。サンヨンはサンニッパよりも小さいし、何しろ手ブレ補正付き!。1/60秒なら100パーセント手ブレしないし、1/30秒でもかなりの確率で止まっていたように記憶している。

サンヨンだとボケが弱い?。いえいえ、ここが肝心。上述の通り、ポートレートはロケーションだ。ロケーションが良ければどんなレンズを使っても撮れる!。要するにサンヨンでも背景が綺麗にボケてくれる場所を見つけば良い。

但し、サンヨンとニニッパのボケ具合は開放で撮影するとほぼイコールだった筈。300mmの方が引き寄せ効果があるのでボケが大きいように見えるが、私の感覚だとイコールだったかな?。

でもサンヨンを手に入れてからはニニッパは使わなくなったな~。そりゃぁそうでしょ!。ニニッパは手ブレ補正が付いていないので頑張って1/125秒が限界。でもIS付きサンヨンは1/30秒でも止められるのだから!。それとサンヨンは白レンズなんですな!。サンニッパ程ではないが、持っているだけで自慢出来る!。

実際には1/30秒なんて滅多に使わなかった。ポートレートは絞りを開ける事が多いのでニニッパでもサンヨンでも開放を使う率が高い。そうなると夕方でもISO100のフィルム使用でレフで顔は起こすのだから背景が明るい場所なら1/125~1/250秒くらいになっていたろうし、ISO100ならポジフィルムの方が楽しいが、夕方の撮影ならば素直にISO200~400のネガフィルムを使うから余程暗くても1/60秒は稼げていたと思う。


今、ポートレート専科がサンニッパを愛用しているかは判らないが、そこまでの長焦点距離のレンズを使っている人は少ないのではなかろうか?。ニニッパだって所持している人はいなさそうな気がする。かつての望遠レンズは単焦点だからこその解像力やボケの美しさがあったとされていた。しかし今の時代、ズームレンズでも十分。ズームレンズの画質は単焦点と同等になった。よって機動性の高い80-200mmF2.8クラスが多用されているのはなかろうか?。私ももし今もポートレートに凝っていたら80-200mmF2.8を使うだろう。

鳥専科、飛行専科、スポーツ専科においても近頃の80-200mmF2.8クラスのズームレンズはテレコンを装着しても画質やAF操作に不満はないと言われており(勿論、上を見ればキリがない)、1.4倍で112-280mmF4相当、2倍で160-400mmF5.6相当なのと、センサーの性能が良くなっているのでISO3200~6400辺りが常用可能ならばサンニッパなど大きく重く高いだけで需要はないのかな。

でもCanonもNikonもサンニッパを売りたい。スポーツ系のプロカメラマンだけの需要よりも(大きな大会となるとメーカーからの貸し出しとかも多い筈で超高級レンズでボロ儲けとまでは行っていない筈)アマチュアが使ってくれない事には・・・。となるとメーカー、もしくはそれに忖度しまくっている雑誌、インターネットなどの媒体は第二のサンダー平山を仕立てるんじゃないかな?。

20代、30代のアマチュアに売れれば良いのだから30~40代くらいのカッチョイイポートレート、鳥、飛行機、スポーツなプロカメラマン。そしてサンダーとは異なり、物を言わないカメラマン、こういう人物が見つかればいずれまたサンニッパブームはやってくるに違いない。言い換えるとサンニッパがブームになり、それを多用する特定のカメラマンが雑誌などに出だしたら、、、

「あぁ、メーカーの戦略にまんまと騙される哀れなアマチュアカメラマンがこれから増えるぞ」

と結論付けて良いだろう。そもそも今現在、哀れなアマチュアカメラマンが仰山いるでしょう?。開放からカリカリな大きく重くて高いレンズを買っちゃうのだから。

まぁそういうカメラマンがいてくれないとカメラ、レンズメーカーが儲からないからカメラ業界の衰退がどんどんと進んでしまうのだが、一定数、その手のカメラマンがいる限り、カメラ、レンズの値段が下がらないとも言える訳だ。うちでは後者の思考を採用したい。

「そういう馬鹿がいるから庶民は機材を増やせないんだ!」

おしまい!。


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コメント

  1. 回答キッド | URL | 23tr8otU

    私はサンニッパというと風景写真家の竹内敏信氏が真っ先に浮かびますね。キタムラの冊子に掲載されていた氏の作品は非常に参考になりました。以降風景写真を様々な媒体で目にしますが皆氏の亜流のように感じます。

    サンダー氏は中古カメラを買い集めるきっかけになった中古カメラ実用ガイド(学研刊)で知りました。キヤノンT90を初めて見て感激したそうですが私も同感でした。その後見かけなくなったのは貴殿が書かれている様なことだと私も思います。所詮雑誌媒体はメーカーには逆らえませんからね。

    EFのサンニッパも販売終了前に無理して買う事が出来ました。まあ最近は風景も撮らなくなっちゃったし子供も撮影される事を嫌がる年齢になったのであまり活躍の場は無いかもしれません(苦笑)。

  2. BigDaddy | URL | -

    > 回答キッド さん

    竹内敏信ってサンニッパ愛用者だったんですか。知りませんでした。なんか80-200mmF2.8、そしてフィルム時代晩年はContax 645ばかりを使っていたようなイメージが強いです。ちょっとした疑問で竹内氏って動物はほとんど撮らなかったと思うのですが、その手のネイチャーフォトにサンニッパが必要なんでしょうかね?。重たい機材を背負うよりもサンヨンとか100-400mmの方が使い勝手が良い気がします。

    スペックよりも描写が素晴らしいのかも知れませんね。回答キッドさんはサンニッパを実際に使われておられるとの事、実際どうなんでしょう?。当時、周囲に本格的ネイチャーカメラマンがおらず、反対にポートレート専科の人は仰山いたのでサンニッパ=ポートレート、そのイメージが非常に強いです。

    中古カメラ実用ガイド!、私もそれ買った記憶があります。そうそう!、思い出しました。確かその本でMinoltaのα9000に魅せられたんですよ!。良いブツがなく結局Minoltaユーザーにはなれませんでしたが、今もα9000はカッチョイイと思っています。T90も良いカメラでしたね。ワタクシ、ポートレート撮影で使っていましたよ!。これに85mmF1.2やFD135mmF2をセットするとカッチョ良いのです!。ファインダー倍率はNewF-1よりちょっと小さかったのかな?、それでもピントの芯が判る良いファインダーでした。

    写真雑誌なんてカメラメーカーの言いなりでしょうし、日本はフリーランサーに厳しい国で誰も守ってくれないですもんね。デジカメWatchだったと思うのですが、長期レポートなるコンテンツがあり、単なるレビューではなく、カメラマン個々が実際に仕事などで使って細かい部分まで我々に情報を提供してくれた素晴らしいコンテンツですが、ある時から一切更新しなくなったんですよね。長期レポートだとどうしても悪口を書かざるを得ない、でもメーカーはそれを許さない、結果、媒体がメーカーに忖度し、コンテンツそのものが消滅した・・・、きっとそうだろうと思っています。

    海外のレビューサイトは忖度なしにガンガン欠点も指摘しているので、日本のレビュー記事はスペック情報しか見なくなりましたね~。

  3. 回答キッド | URL | 23tr8otU

    こんにちは。
    サンニッパは下の子の幼稚園の運動会で実戦投入しました。なんせ会場が幼稚園園庭じゃなくて母校の中学のグランドだったので撮影ポイントが限定されてしまうんですよ。トラックの傍でバカでかいレンズ使ってると羨望なのか軽蔑なのかパパさんたちに変な目で見られました(爆)。私みたいなヘナチョコでもそこそこのボケで撮れましたよ。

    私も実用ガイドを偶然、某文教堂で手にしなければカメラ熱は無かったかもしれません。

    笠間の石切り場ですか。あの辺は叔父が単身赴任してた関係でよく行きました。当時(1998年頃)にそこのカメラ店でT90を買ったら壊れていて、今なら当然返品すればいいのに意気地が無い(今だったら着払い&修理は当然)から川崎の関東カメラで修理してもらったこともありました。因みに月カメの後ろのほうに載ってたあそこです。

  4. BigDaddy | URL | -

    > 回答キッド さん

    なるほど!、運動会、パパさんの為のレンズですね!。今はどうか知りませんが、昔はあそこも機材お披露目会みたいなところありましたよね。ママはビデオ、パパは写真、そしてパパは絶対に失敗しちゃならず、相当なプレッシャー。失敗したら一生文句を言われる!(笑)。

    羨望か軽蔑か、いやぁ、これは100パーセント羨望ですよ!。でも性格が悪い奴だと「けっ!、機材に頼りやがって・・・」となるのですが、そもそも写真は機材に頼る趣味ですから、私は本ブログで高級機材反対を掲げていますが、懐に余裕があればサンニッパだろうがニイッパだろうが良い機材を買うべきなんですよね。高額宝くじが当たったら多分LeicaのM10買いますもん。いや、今は視線入力が復活したCanon EOSのR3でしょうか(笑)。

    関東カメラ、懐かしい響きですね。あそこってLeica系のユーザーが広めたんでしたっけ?。とにかく有名でしたよね。私はフィルム時代、フジヤカメラな人だったのでここはアフターサービスが行き届いていて購入したものが故障したらほぼ交換でしたね。記憶にある限り、Contax AXと初代のCanon EOS-1、これは交換でした。

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