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我ら「ジャンクレンズ救出隊」、SMC PENTAX-M 50mmF1.4を救う

2015年12月19日 00:00

かつてここに鉄道が走っていた・・・

かつてここに鉄道が走っていた・・・

Pentax K-5, SMC PENTAX-M 50mmF1.4

※ブログに視覚要素を加えるlightboxを導入しています。上記画像をクリックすると少し大きな画像をポップアップして見る事が出来、暗くなった部分をクリックするか、画像下部のCloseをクリックすると元に戻ります。



「ジャンクレンズ救出隊」とは世の中で捨てられる運命にある、もしくは一過性のブームで玄人ぶって買い漁っているアホどもに手を付けられる前にそれらを保護する団体だ。と言っても隊長一人、隊員ゼロの最小規模であり、誰にも認められていない秘密結社である(笑)。

そんなジャンクレンズ救出隊隊長が新たなジャンクレンズを仕入れてきた。それがSMC PENTAX-M 50mmF1.4(以下M50mmF1.4)。




それまでジャンクレンズ救出隊が保護していたレンズは、、、

SMC PENTAX 24mmF2.8 周辺部カビ
SMC PENTAX-M 50mmF2 周辺部カビとバルサム切れ?
Tokina RMC70-210mmF3.5 前玉に大きな欠陥(バルサム切れ?)

えっ?、それだけ?、ブログ右のユーザータグを見るともっとありそうだけど・・・、と思われるかもしれないが、正真正銘のジャンクは上だけ。

SMC PENTAX 55mmF1.8、SMC PENTAX-M 200mmF4、Rikenon XR50mmF2、Rikenon XR135mmF2.8と言ったオールドKマウントレンズはレンズ内ゴミ混入とか若干のクモリ、もしくはほんのちょっとカビが生えている等、135カメラに使用しても写りにほぼ影響のないレンズ達だ。

またジャンクとして挙げた3本もAPS-Cカメラで使用する限り、逆光ではびっくりするくらいのフレアーが出るものの、それさえ気をつけていればTokinaのズームレンズのようにバルサム切れと言う不治の病でも全く問題なく使えている。

しかもびっくりするくらいのフレアーは時としてオンリーワンの表現になってくれるし、Lightroomの「霞みの除去」のおかげでフレアーを除去出来たりするのでジャンクでも十分使える。

今回入手したM50mmF1.4はバルサム切れに次ぐかもしれない難病を持っていた。「絞り羽根の粘り」である。ヘリコイドからオイルが漏れて絞り羽根にくっついてしまっていて、羽根についたオイル除去の他にヘリコイドも清掃しないと再発するガンのような恐ろしい病気みたいだ。

こういうレンズがあるのを知らないでネットオークション等で真夏に購入すると次の冬で「あれっ?、壊れたか?」ってなるんだが、それは最初から壊れたものを買っちゃっただけなんだな。

夏の暑い期間は粘りが少ないからなんとか動いていただけの時が多いらしく、売った本人も夏の間に動作確認していたら、壊れているレンズを売ったつもりはなかったりするのだろう。だから保証も何もないオールドレンズは冬に買うのが良いと勝手に思っている。

その手のレンズの大半は絞り開放しか使えない。と言うのもオイルで羽根が粘っちゃっているから絞り機構は何とか動くものの、シャッター幕が開いている間に正常に絞り込まれないんだ。今回のレンズもそうだった。購入前にボディに装着し試したところすでに1段絞ったF2で駄目、絞り開放専用レンズ。

でもケチな私がたった500円とは言え絞り開放しか使えないレンズをわざわざ買うか?。

買うんだなぁ。絞り羽根の粘り以外は全く問題のないレンズ。レンズ内にほこりがある程度でカビもクモリもなく、ピントリングも気持ち良く回ってくれる。これは勿体無い、どこぞのアホに買われる前に俺が救ってやらねば!。

でも当然絞り開放しか使えない訳だ。試しに下の写真をご覧あれ。1枚目からF1.4開放、F2、F2.8、F4~と1段ずつ絞り込んだ写真だ。お判り?。F2の時点で1段露出オーバー、F2.8で2段、F4で3段、F5.6で4段のオーバー写真になる。

そりゃぁそうだ。露光中に絞り羽根がしっかりと閉じてくれないから像そのものは全て絞り開放なんだ。でも1段絞る毎にシャッタースピードが1段遅くなるから結果露出オーバーになっていく。

2015-12-19-02 2015-12-19-03 2015-12-19-04
2015-12-19-05 2015-12-19-06 2015-12-19-07



ところが「決してお勧めは出来ないが」ちょっとした工夫で難なくしっかりとした写真を撮れるようになる。下の一群がそれ。上と同じようにF1.4から1段ずつ絞り込んで撮影している。写真が小さいので判らないと思うが、ちゃんと絞りは機能していて絞る毎に被写界深度は深くなっている。

2015-12-19-02 2015-12-19-03 2015-12-19-04
2015-12-19-05 2015-12-19-06 2015-12-19-07



これはPentax特有、絞りが機械仕掛けになっているから出来る技で(Nikkorレンズも出来るのかな?)、わざとレンズをロックさせないで装着するんだ。詳しく解説すると・・・。

まずレンズをF22まで絞り込んだ状態でボディに装着する。この状態でレンズを正面から見ると絞り開放になっている。

そして一度カチッとロックさせた後、レンズの正面を見ながらロックを解除し、レンズを外す要領でゆっくりと回していく。その時に絞り羽根が最小絞りまで絞り込まれたところでストップ!。これで完了。この状態で絞りを変えていくと絞り羽根が閉じたり開いたりする。

いわゆる正真正銘の実絞り撮影とでも言おうか?。だから絞れば絞る程にファインダー像は暗くなる。F22なんて日中でも暗いし、夕方なんて真っ暗になる。だから撮影時、ピント合わせは絞り開放で行い、撮影直前に任意の位置に絞り込んで撮影する。

これが絞り羽根が粘っている時の対症療法。但し、レンズをボディにロックさせていないのでそこそこの力を加えるとレンズがボディから外れてしまうので移動中は必ず最後まで回してロックするのを忘れちゃならない。

まぁロック位置から1センチちょっと戻すだけでF22までしっかりと使えるので簡単には外れないが、やっぱり皆さんにはお勧め出来ない方法かな。とにかくレンズ部分を持ってカメラを振り回したら100%の確率でカメラが地面に落下するので必ずボディをしっかりと持つ事。

また万が一、レンズが外れてそこらに転がった場合、周囲から「レンズをロックしないアホ」と失笑を買うのを忘れちゃならない。

確かフィルム時代のPentaxの一眼レフは実絞りの状態を保つ仕様があった筈だが、今のデジタルカメラは光学プレビューで撮影前にレンズを絞り込めてもシャッターが押せない仕組みになっているので、上の怪しい方法しか使えない。

でもこの儀式を行わない限り、絞り開放しか使えないので常用したいとは流石に思わない。では何故購入したのか?、しかも50mm前後のレンズは上のリストの他にFA50mmF1.4もあるのだから・・・。

話は単純。Pentaxの古い標準レンズはF1.4よりも暗い物だと絞り羽根が6枚しかない。だから背景に点光源がある場合、絞り込んで撮影すると点光源が全て六角形になり、ボケが煩くなってしまう。

ボケには拘らないし、六角形の点光源、それも1つの味わい、円形絞りタイプでない限り、六角形も八角形も大して変わらんと思っているのでさほど気にならないが、それでも柔らかいボケを試したい時だってある。

残念ながらFA50mmF1.4は絞り羽根が8枚の割りには設計の問題なのか、シャープさを追求した為か二線ボケが出る時がある。オールドレンズのM50mmF1.4ならもしかしたら・・・、と思うでしょう?。しかも500円だから!(笑)。

加えて、この絞り羽根の粘りは将来Sony α7を買ってオールドレンズごっこをした時には問題がない。マウントアダプター経由でレンズを装着すると最初から実絞りで撮影しているのだ。F8まで絞っていたらシャッターを押す前からF8の絞りになっている。粘っているどころか固まって絞りの開け閉めが出来ないレンズはα7でも駄目だが、粘っていても絞り羽根が動くのなら使えるんだ。

だからいつになるか判らないけれどSony α7の常用標準レンズとしてコイツを購入した訳だ。500円だよ、500円!。500円のレンズが常用なんだから(笑)。

そして、この裏技の凄いところ。α7は実絞りで絞り優先AEが使えるんでしょ?。だったらPentaxの一眼レフでもAEが使えるんじゃねぇの?。そう!、その通り!。

だってM42レンズにマウントアダプターを使うと実絞り優先AEになるんだから、Kマウント用のレンズだって無理矢理実絞りにしちゃえば絞り優先AE(他にも注意点があり、それは後日!)が使えるし、露出補正もISOオート、AEロック、AEブラケットだって機能する。

そもそもM42レンズでAEが使えるのに何故KマウントレンズでAEを使えなくしたのか、Pentaxの思考が判らん。こういう間抜けなところがPentaxの気質として存在する。

以前問い合わせた事があったんだ。なんで電子接点のないKマウントレンズでも実絞り測光させないんだ?、実絞りにしたらAEが使えるじゃないか!。メニューから実絞り測光をさせる選択肢があってもいいのでは?、って。

そうしたらKマウントレンズは開放測光用のレンズだから、またピント合わせは開放で行うべき、グリーンボタンを押せば同じ作用をするなので云々・・・、とアホな回答を頂いた。

確かに実絞りにして絞り込んでいるとピント合わせは難しいし、マニュアル露出でもグリーンボタンで簡単にシャッターをセットしてくれるが、ISOオートが作動しないから面倒なんだ。

素人考えでしかないが、光学プレビューの最中でもシャッターが切れるような仕組みにするだけでいいんだから、お金を掛けずに簡単にそういう仕様に変更出来ると思うんだよねぇ~。

実を言うと、他の電子接点のないKマウントレンズも移動せずに(落とす心配がない)同じ場所で大量の写真を撮る時なんかはいちいちマニュアルでグリーンボタンを押して云々なんて面倒だから今回の方法と同じくレンズロックを外して実絞り優先AEで写真を撮っているんだ(ISOオートが使えるのが最高に便利)。

※流石に移動しながらのお散歩写真では危ないから従来通りマニュアル露出で撮影している

これご存じない方には朗報でしょ?。オールドレンズでこんな楽は撮影ないぜ!(笑)。こういうネタって知っている人だけが知っていれば良いから本当はこうやってネタにしちゃいかんのね。もしかしたらその手のマニアからお叱りを受けるかもしれない。

今回のレンズのように絞り羽根が粘っているレンズって自分でレンズ分解出来る人を除いたら決して手を出しちゃいけない。修理を依頼すると1万円くらい掛かる筈だから完動品を8千円で買った方がまし。絞り羽根が粘っているレンズはまず売れない。だから私が500円で買える。

でもこうやってネタにしちゃうと本当は手を出しちゃいけない絞り羽根の粘りがあるレンズでもα7なら使える、裏技を使えばPentaxの一眼レフでも粘りは関係なくなるし、電子接点のないKマウントレンズでもAEが使える、なる情報が浸透しちゃって私が500円で買えなくなる!(笑)。

時に、このレンズを買う際にお店の人が「開放しか使えない」と念を押してきたので「へ~き、へ~き、これってこうやると実絞りになって使えるんだよねぇ~」と話したら、びっくりされた(笑)。カメラ売買に携わっている方でもPentax好きじゃないと知らないんじゃないかなぁ。もしかしたらPentax(Ricoh)の社員でも知らない人がいるんじゃなかろうか?。

まぁ、くれぐれも個人の責任においてやって下さいな。楽は出来るけどレンズやボディが落ちても私は知らんし、決してお勧め出来る撮影法ではない。実際に過去に一度だけ、注意していたのに関わらずレンズが外れて落としそうになった時があった。

M50mmF1.4のレビューは後日また!。


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コメント

  1. ピンぼけ小僧 | URL | EBUSheBA

    我が家にはニッコール千夜一夜48夜に登場するNikkor-Q Auto 200mm F4があります。当然ジャンクの500円で購入したものですが全然問題なく使えます。
    このレンズを使うには電子接点がないので露出がちょっと面倒くさいです。
    それにnikkorレンズの旧タイプでデジタル1眼ボデイにはdfとD5000シリーズとD3000シリーズあたりしか使えないタイプです。まあ、私はD5000を持っているので使用できます。
    レンズ内はそれなりにホコリが混入してますが、撮影には問題ありません。

  2. BigDaddy | URL | -

    > ピンぼけ小僧 さん

    ニッコール千夜一夜って何だろう、書籍?、と思って調べたみたら、いやぁ、これはニッコールマニアには最高の読み物でしょうね。羨ましいです。Nikonのオールドレンズを買う事は多分ないでしょうが、これは一夜めから読んでいこうと思います。Pentaxもこういうのを作れば・・・(笑)。それにしてもこのお持ちのAuto 200mmF4、レンズ構成図を見てびっくりです。4群4枚!。

    Nikkorの場合、旧タイプのレンズって微妙に仕様が異なるみたいですね。dfが売れているのもD4のセンサー、デザインがレトロに加え、オールドレンズが扱える、そんな事もあるのでしょう。

    ホコリってほとんど関係ないみたいですね。まぁバルサム切れで見た目絶対に無理!、そんなレンズでも妙な乱反射はするようですが、なんとか撮れますもんね。

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