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Sony α7 レビュー四方山話 その16 Sonnar 55mmF1.8のボケ味

2015年07月24日 00:00

昭和の公園にて

昭和の公園にて

Sony α7, Sonnar 55mmF1.8

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本ネタに掲載している写真は全てSony αアンバサダープログラムのモニター企画にてSonyからお借りした機材で撮影しています。
7月20日の記事ではSonnar 55mmF1.8の解像感についてベタ褒めした。今日はボケ味について。




ボケ味、うーん、非常に曖昧な言葉だ。「解像感」もそうだが、非常に細かい部分で個人の好き嫌いがはっきりするのがボケ味だろう。私はあまりボケ味には拘らない。絞り羽根が6枚しかなく背景に六角形の点光源があったり、背景に直線がありそれが二線ボケしていたら流石に煩いとは思うが、それで悪いレンズなる評価は下さない。

そんな人間だし、厳密に他のレンズと比較したレビューではないので、あくまでもこれに関しては情報の1つ、そう思ってお読みになって頂きたい。

一般にカリカリ描写のレンズはボケが汚いと言われているが、このレンズは上手く設計されているのだろうな。各種収差を抑えてカリカリ系の描写の癖に、ボケは煩いとは感じない。むしろ美しいとさえ思う。

但し、もしこのレンズの評価で「ボケはとろけるような美しさ」、どこぞでそんな表現がされていたらうちのブログが話半分くらいで見て欲しいのだから、そんな表現をしているブログは話3分の1くらいだと思っていて良い。このレンズは使った限り、とるけるようなボケではなく、なだらかな自然なボケになる。

ボケとしては美しい部類に入るだろう。でもとろけはしない。言い換えると自然な描写だからどんなシチュエーションにも合い、何も考えずに使えるレンズ。だからいつも悪口ばかり垂れている本ブログでもこのレンズの描写は決してけなさない。

グルメレポートで高級な肉や魚で「口の中で溶ける!」なんて表現をしているでしょう。これも繊維質があるんだから溶ける訳が無いでしょう?。確かに調理法も含め、噛まないですぐに飲み込める肉や魚があるが、溶けはしないよね(笑)。

デジタルカメラを始めてからもう6年だか7年?。プロカメラマンやカメラ関連のライター、そして一般のユーザーブログを腐る程見ていて判った事、形容表現がやたらに多いブログ、特に「~のような」、そんな言葉を多用しているサイトは話半分以下で読むべし。「~だ!」と断言しているブログの方が信用出来る。

あっ、もしかしたらSonnar 55mmF1.8をα6000等のAPS-Cカメラで中望遠レンズとして使うと背景によってはとろけちゃうのかも・・・。

ピントの合った部分はカリッしているんだ。最近のレンズはスゲェなぁ、F1.8の絞り開放でもカリカリじゃないか!、と言う程。

PentaxのAPS-CカメラでだけどFA28mmF2.8AL(135換算約43mm)は開放がF2.8だから無理な設計をしていないのか、また非球面レンズを採用しているからなのか絞り開放でもピントの合っている部分はカリッとしている。

しかしFA50mmF1.4(135換算約76mm)は昔ながらのレンズとでも言おうか、F1.4の絞り開放では光の滲みを感じる。実はむしろ開放ではこう言った光の滲みがあった方が面白かったりもする。そして滲みは1段も絞ればおおよそクリアになる。

つまりFA50mmF1.4や非球面レンズを採用していないいわゆる昔ながらのレンズはF1.4~F2.8くらいまでは使いどころであり、被写体をどう表現するかによって絞りを考慮する楽しみがある。

Sonnar 55mmF1.8は良く言えば開放のF1.8からF11くらいまで被写界深度内のカリカリ度はほぼ一定と言って良いくらいの安心して使えるレンズ。悪く言えば特徴の無いつまらんレンズとなり、単に被写界深度の深さとシャッタースピードを考慮して絞りを計算するだけ。

これを各ユーザーがどう捉えるかだろうか?。普段の利用ではSonnar 55mmF1.8を、そして表現を楽しみたい時にマウントアダプターを介してオールドレンズを使う、カリカリとホンワリの標準レンズを2本持つのが一番賢い選択かもしれない。

絞り開放で滲まない、これは欠点ではないんだ。だからSonnar 55mmF1.8は値段は別にして完璧な標準レンズと言えるのではなかろうか?(言い換えると値段が値段だけに当たり前の描写力)。フィルム時代も含め、こういうパーフェクトなレンズを使ったのは初めてかもしれない。気兼ねなく絞り開放が使えるって当たり前のようでそうではない、スゲェと思う。

「あくまでもフィルム時代の一般論として」・・・。何故Sonnar 55mmの開放がF1.4でなくF1.8なのか?。Sonnarタイプのレンズは明るいレンズを作り辛いと言われていたのと(Sonnarで一番明るいレンズは50mmF1.5だったみたい)、絞り開放でもある程度の描写を見込みたいからだと思うんだ。

Kyocera時代のZeissはボケのPlanar、シャープなSonnarと言われていた。それが正しいとすればSonnarは絞り開放からカッチカッチ。事実Sonnar 55mmF1.8は絞り開放でも周辺部まで良好な解像感を保っている。となると被写界深度は浅いにせよ、とろける描写にはならない筈なんだ。

Kyocera製のPlanar 50mmF1.4の絞り開放は風景には使えなかった。描写が甘いんだ。六つ切りプリント程度でそう感じる。これは85mmF1.4にも言え、PlanarはF2.8から描写が良くなる、そう思っている。だからこそSonnarを選択したのかな、Sonyさんは・・・。だとしたらSonnar 55mmF1.8でとろけるってのはやっぱり表現としては良くない。

※ただ、Sonnarと言っても何をもってしてSonnarなのかは不明・・・

昔Canonに50mmF0.95と言うレンズがあった。それで撮影された写真を見た事があるけど、とるけるを通り越して、なんて表現すれば良いのか、気持ち悪い描写だったなぁ。ピントの合っている部分とそうでない部分は2枚の合成写真か?、そんな疑問を持ってしまう。それでいてグラデーションはしっかりとある。

そんなこんなでとにかく褒める以外ないSonnar 55mmF1.8の像、ご覧頂きたい。今回は当倍表示でなく、トップ写真を含め、マウスクリックでいつもより大きく「長辺1200ピクセル」の像が表示されるようにした。

※ご覧のモニターの解像度にもよるがうちでは(ドットピッチ92ppi)この像はA4より一回り大きな像になるのでボケの具合をしっかりとご理解頂けると思う。


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上は開放F1.8。ピントは手前の葉群で、この像を見て「おっ、このレンズは絞り開放で十分に使えるじゃないか!」と思ったコマ。何度も書いている通り、ピントの合った部分は絞り開放の癖にキリリと引き締まっており、いつでもどこでも安心して使える。

次の写真は1枚目がF1.8開放、2枚目がF2.4、3枚目がF4で撮影している。こういう風景で何が何でも絞り開放ってのは頂けない。お地蔵様のポートレートを撮ったところで「何?、テスト撮影?」で終わっちゃう。これは六地蔵であると見る方にも認識させなくちゃならず、F4のコマが最適だろう。

勿論、円形絞りを採用しているからF4まで絞っても背景のボケは煩くはない。


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次の写真はトップ写真とピント位置を入れ替えたもの。背景ボケが綺麗なレンズの場合、時折、前景ボケがやたらに煩い時もあるようだが、このレンズはそうじゃない。前ボケもなだらかにボケてくれている。


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滑り台までの距離は5、6メートル?。フィルム時代でもこういう撮り方はしなかったなぁ。少なくとも50mm前後の標準レンズの絞り開放を使って奥にピントを合わせる、そんな撮影はしなかった。

それは絞り開放像を信用していないから。被写体が近い場合、トップ写真だったら絞り開放は使うけど、5メートル以上も離れたら解像力が悪くなるだろうと判断し1段は絞りたくなる。そしてこの風景だと1段絞ってしまうとボケは中途半端。結果、被写体から離れて85mmレンズのF2.8くらいで撮影する、そんな思考になっていくんだ。

当時、85mmレンズを持つ時はその相棒として35mmレンズを用意していたので、完全に分担作業だった。35mmレンズではスナップを、85mmではボケを活かした心象風景を・・・。

50mm前後の標準レンズだとこれを1本で賄える可能性が高い。引けば35mmレンズ風に、寄れば85mmレンズ風に撮れるからだ。だから標準レンズ1本だけ持ったお散歩写真が成立するんだ。

下はF2.4、だから開放から1段絞っている写真だ。こういう風景は絞り開放の方が良いだろうが、ここまでゴチャッとした風景で1段絞ったらどうなるか、そんなショット。背景ボケも前景ボケも汚くないでしょう?。


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またα7はブレ補正を搭載していない。そしてこのレンズも同じ。でも頑張れば1/30secでシャッターを切る事は出来(3枚くらい撮っておけば1枚はモノに出来るだろう)、被写界深度が浅くなるのは仕方ないにせよ、夕暮れでも撮影出来るのも利点だ。

次の写真、1/30sec、F1.8、ISO200で撮影している。EV5.7の明るさだ。α7はISO1600までは撮って出しJPGでも問題の無い画質を持っているので、F1.8、1/30seで撮影すればEV2.7の夜景も撮影出来てしまう。

但し、α7のAFは暗所に非常に弱く、それくらいの明るさだとかなり迷うし、挙句の果てコントラストの無い風景だとピントを合わすのを諦めてしまう大きな欠点がある。

この風景では流石にピントはスゥッと合ってくれたが、少し引いたカットでISO5000のF2.8くらいで撮っている風景では肉眼では十分にコントラストがあると思っていても、ピントが合わずAFを捨てMFで撮っていた。最近のカメラなのにその程度の明るさで迷っていては駄目だ。

※AF補助光はしっかりと光っていたがそれが弱すぎるんじゃないのかなぁ・・・


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今回、せっかく135フォーマットのセンサーのカメラに絞り開放から使える大口径標準レンズを1ヶ月間も借りられたので、普段は絶対にしない積極的に絞りを開けた撮影をしていた。こんなに絞り開放を使ったのはフィルム時代を含めて初めて!。

本当はこの記事の中でもっと沢山掲載したいところだが、それはまた後日にでも・・・。135、APS-C、マイクロフォーサーズ、そんな話の中で紹介出来ればと思う。

とにかくこのレンズのボケ味は癖が無くとても素直、また絞り開放でもピントの合っている部分はシャープなので、どんなシチュエーションでも絞りを開けられる、少なくとも直線的なエッジが多い街風景ならば遠景でも絞り開放が使える万能レンズ、そう思って頂きたい。

あとはその価値に8万円をつぎ込めるか否か・・・。何度も言うけど標準レンズは撒き餌レンズでなくちゃならない。α7、ボディで価格破壊を進めたSonyが何故標準レンズ如きで8万円のプライスを付けたのか?。

恐らくSonyはZeissブランドに頼らなくてもしっかりとしたレンズを作れる筈。そしてそれはブランド料が掛からない分、Sonnar 55mmF1.8の半額くらいでユーザーに提供出来る筈なんだ。Zeissに頼り過ぎるとKyoceraのように失敗する思う。


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