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久々に悪態を吐いてみる

2014年07月14日 00:00

休日の銀座

休日の銀座

Pentax K-5, Sigma AF17-70mmF2.8-4OS HSM

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前回の記事からの続き・・・。

今日は像面湾曲に絡め、被写界深度にまで話を進めたい。

像面湾曲はない方が良い。でも本日トップ写真のような中央が奥まっていて周辺が近景になるような構図は「像面歪曲のお陰」で何も考えずに中央のAF測距点を使って構図真ん中のパラソルにピントを合わせば周辺部の近景もある程度キッチリ写ってくれちゃう。

まぁものは考えようで、この手の写真、無限遠までの遠景でもないし、A3ノビプリント程度なら中央奥の風景なんて人間の目はお馬鹿さんだから手前の道路上の矢印にピントを合わせてF8まで絞り込んでも同じように映る筈だ。どこどこがボケていて気持ち悪いなんて決して言われない。

フィルム時代、135フィルムの場合、一般的なプリントサイズは四つ切ワイド(長辺約36センチ、B4とほぼ同じ)。これくらいのサイズだとレンズをある程度絞り込めば「ピントは広い面」となる。被写界深度によって奥に向かってピントが合っているように見えるゾーンが出来てくる。

だから当時の撮影法、ピントをどこに置くかは、主被写体に合わせるか、被写界深度を考慮して前方3分の1の距離にピントを合わせる事が多かった(被写界深度は奥、後ろの方が深くなる)。

135フィルムで28mmレンズを使う時、F8まで絞って3メートルの位置にピントを合わせると手前1.5メートルから奥までのゾーンがパンフォーカスになる。

これをAPS-Cセンサーのカメラで実行すると焦点距離18mmでF5.6、ピント位置を3メートルに置くとやはり手前1.5メートルから先がパンフォーカスになる。しかしデジタルカメラでそれを行うと遠景が明らかにボケている。被写界深度から外れているんだ。

これはそもそも被写界深度計算がフィルム時代のもので、六つ切りプリントを前提に写真から30センチの距離で眺めた際の深度でしかなく、これは(六つ切りワイドで)A4プリントと同じ大きさで、そりゃぁパソコン上で等倍で見ちゃったら計算式に合わない事をやっているのだから現行の被写界深度計算は全く意味がなくなる。

等倍鑑賞反対派は「だから等倍で見る意味なんてないんだよ!」とお鼻を膨らましちゃうだろう。確かにそう。先日も書いた通り、APS-Cの1600万画素をパソコンで等倍表示させると(モニターピッチや画像の解像度にもよるが)長辺140センチくらいで見ている事になり、今後B0プリントする場合においてのみ等倍鑑賞に意義が出てくる。

しかし等倍鑑賞とは被写界深度をチェックする為のものじゃない。自分のカメラ、レンズがどこまで優れているか、解像感、階調が豊かなのだろう、それを探る為のもの。言い換えると等倍鑑賞しなきゃカメラ、レンズなんて何だって良いし、5年以上前の600万画素クラスのカメラで写真を撮ってりゃいいんだ。

等倍鑑賞が無意味になるのは「実際のプリントサイズと異なるサイズ、環境で見ている」、これだけしかない。だから等倍鑑賞を反対する事自体がそもそもおかしいんだ。等倍鑑賞でカメラ、レンズの性能にニンマリし(もしくは落ち込み(笑))、実際にプリントするのなら、リサイズしてチェックする、誰にも文句を言わせない。

価格.comなどを見ていると未だに「私は等倍鑑賞はしませんが・・・」、そんな前置きで始まる人がいる。でもそんな人って価格.comに出入りしているくらいだから最新の機材を使っているんだし、進んでコメントをするくらいだから機材マニアが多い。彼らは「非建設的な事をしないオレってカッコイイ、そもそも写真はプリントだろ!」とか思っているんじゃなかろうか?。それって単なる痩せ我慢だろ。

良いカメラ、レンズを使えば誰もが等倍鑑賞したくなる筈。私が等倍鑑賞にハマッたのはK-5を手に入れてから。今までISO1600が限界と思っていた世界がISO6400まで上がった。しかもその後コンポジットなるレタッチを知り、それを駆使すればISO12800は当たり前、風景によっては25600だって行けるぜ。

そりゃぁ等倍鑑賞して「おお!、ノイズが少ねぇぞ!、これなら行ける!」と、スーパードラマTVでゴシップガールを見ている連れに対し、「どうだ!、この廃墟写真!、シャドー部を見てくれよ、ノイズがねぇじゃん!、しかもISO25600だぜ!、K-5最高!、コンポジット万歳!」と狂い叫んじゃうのは自然な行為。

しかも数年前からローパスフィルターを排除してより解像感を出せる仕様にカメラは変化していった。Lightromで無理にシャープネスを掛けずともシャキッとした像を見られる。そんなカメラを持っていたら誰もが等倍鑑賞し、そりゃぁ小躍りしちゃうでしょ?。

それを上から目線で「どうせA3プリントでしょ?、等倍鑑賞する意味ねぇだろ?」なんて言われたらそりゃぁカチンと来るって。等倍鑑賞しない人ってノイズの少ないセンサーやローパスフィルターレスの像なんて丸で興味が無いのか?。そんな訳ないよな(笑)。

だからそういうウザイ奴に対して等倍鑑賞派は対策を練らねばならない。当たり前だけど、等倍鑑賞時のレタッチ(もしくは現像処理)と、実際にプリントする時のレタッチとでは、シャープネスの掛け方、ノイズリダクション量、ローカルコントラスト調整など、全く異なってくる。

等倍鑑賞派はこれだけを理解していれば、事ある毎に等倍鑑賞は無意味と吠えるウザイ奴らがいてもへっちゃら。むしろ「私は等倍鑑賞はしませんが・・・」と必ず前置きしないとコメント出来ない不思議な輩を「アホかこいつ?」と上から目線に思っているくらいが丁度良い。

そう言えば昔・・・。

70年代後半から80年代半ばまで、ハードロック、ヘヴィメタルが一世を風靡した。ところが90年代になって一気に廃れた。そんな時、対バンライブで一緒になった他バンドのギタリストが「速弾き出来たって意味ねぇよな、今はそういう音楽が流行っていないから、これからはグルーブだよ、グルーブ!」と言った(groupでなくgroove)。

馬鹿だろこいつ?。ギタリストなんだから音楽性、テクニックを追求するのは当たり前。幾ら世界の音楽の方向性が変化しようが、音楽への探究心を捨てちゃならない。しかもそいつはテンションコード、テンションノート、例えばC7(9,13)とかの意味を全く理解していない、音楽的にもアホな奴だった。そんなアホがグルーブ(groove)云々抜かすな!。

私なんてもうオヤジよ、今更テクニックを追求してもプロになる訳でもないから意味がないけど、自分への挑戦、今も尚、超速弾きトレーニングを欠かさない。以前挫折したスウィープ奏法も何ヶ月も掛けてマスターした。この前テレビで「修行と修業」の違いを解説していた。そう、ギタリストは修業じゃなく、修行なんだよ。趣味だろうがアマチュアだろうが死ぬまでテクニックを磨く。

この音楽知識もない馬鹿ギタリストの件や「等倍鑑賞なんて意味がない」ってのは「日本の制限速度は100キロなんだから200キロも出る車なんて要らない」と言っているのと同じ低レベルさでしかない。確かに必要ないだろう。危険回避行動を必要としても150キロも出れば十分。でも車を下駄、単なる移動手段と思わない人だっている。そういう人を否定しちゃいかんよね。

等倍鑑賞しない人達は、仮に高性能スポーツカーを購入しても「私は制限速度を守りますから・・・」と買ってから一度もトップギアでフルスロットルにせず、第一車線をトラックの後ろでチンタラ走っているのかね?。Nikon D800Eとかさ、Pentax 645Dを持っていても等倍鑑賞しないんだろうねぇ。不思議な輩達だ。

さて・・・。

被写界深度計算で重要なのは許容錯乱円径。APS-Cの場合、一般には0.02ミリとされているが、等倍で見るのなら、この値は0.016ミリ未満と思うべきだ。許容錯乱円径が小さければ小さい程、ピントがシビアになり、被写界深度は浅くなる。

被写界深度をご自分で計算されたい方、ネットで検索すれば計算法は載っている。一見複雑そうだが、実は四則計算だけで算出出来(100円ショップの電卓だけで出来ちゃう)、私は以前、Excelのマクロ機能(VBA)を用いてこれをやっていた。

ただ、この許容錯乱円径は規格化されている訳でなく、最終的にはどの大きさで写真を見るかによって自分で決定するしかない。あくまでも主観だが、A3ノビプリントが前提なら0.017ミリが妥当だと思っている。

※どの段階で四捨五入するか、小数点のどこを切捨て、切り上げ、この辺で結果は大きく違うのであくまでも「おおよそこれくらい」と言う目安でしかない

では0.017で17mmレンズを使ってF5.6の絞りで3メートルに合わせるとどうなるか?。おおよそカメラから1.5メートル~250メートルまでが被写界深度に入る。つまり本日トップの写真ならパンフォーカスと言っても良い。実際にA3ノビのプリントサイズで写真を見るとその通りになっている。

要するにこの風景でA3ノビプリントが前提なら、冒頭に書いた通り、手前の矢印にピントを合わせても、30メートル先のパラソルにピントを合わせてもほぼ同じように仕上がってくる。

しかし問題はSigma 17-70mmレンズの像面湾曲。矢印でピントを合わせていたら、その距離にある構図周辺部、この写真の両サイドの歩道部分はA3ノビプリントならなんとか踏ん張れるだろうが、もう一回り大きなA2プリントをすると恐らく像がボヤけて見えてしまうのではなかろうか?。

加えてこの写真はLightroomで歪曲補正を掛けているので周辺部は無理に凝縮されちゃうから、余計そう感じると確信している。

だから(あくまでも個人の勝手な判断において)被写界深度を考慮して像面湾曲の酷いレンズを使って写真を撮る場合、フィルム時代の手前3分の1にピントを合わせるとか3メートル固定と言った方法は通用しないと考えている。

勿論、主になる被写体が手前にドーンとあれば、それにピントを合わせるが、今日の写真のような説明的な風景ともなれば、なるべく奥でピントを合わせるようにしている。

下の写真もそう。奥に写っているのは日本橋。これもトップ写真と同じく説明写真で手前から奥までパンフォーカスしたい。ところがフィルム時代の思考だと、上の通り、手前の何かにピントを合わせてレンズを絞り込んで奥の日本橋が被写界深度に入るようにする。


2014-07-14-02


でもそれだと確かに絞れば被写界深度に入るが、像面湾曲のせいで奥の左右隅はボケボケになる。それが切り出し像の次の写真(構図奥、右端の像)。首都高の手前に見える橋脚にピントを合わせている。これは本記事の為にわざとそうしたのでなく、フィルム時代の癖で無意識にそこにピントを合わせちゃう。結果、日本橋の端っこはピンボケしている。


1枚目左端 2枚目左端
2014-07-14-03 2014-07-14-04



1枚目を撮った直後、「いけねぇ、いけねぇ、像面湾曲で端っこがボケるぜ!」と思い出し、ピント位置を一番奥、日本橋そのものに合わせ、MFに切り替えて気持ちさらに奥にピントを置いたのが2枚目。手持ちなので構図がズレているが、一目瞭然だろう。

※しかも最初に撮った写真は何故かさらに前ピンになっているから、中心部はギリギリ被写界深度に入っているものの、周辺部は余計像が汚く、全く解像していない


1枚目右端 2枚目右端
2014-07-14-05 2014-07-14-06



1枚目は誤測距で意図よりさらに前ピンになっているので像面湾曲によるボケは完全に被写界深度から外れてしまいA3ノビでも近くで見たら恐らく判るくらい。そしてここまでボケているとエッジがないからシャープネスが効かない。でも2枚目はエッジがあるから、さらにシャープネスで解像感を高められちゃう。

とにかく像面歪曲がひどいレンズでこのような説明写真を撮る時は(広角~標準域までなら)フィルム時代の思考を捨て、なるべく奥にピントを合わせる、それを励行しているのだった(標準よりも長い焦点距離なら強調したい部分にピントを素直に合わせるべし)。

当然、レンズが変わると撮影も変化する。同じズームレンズでもDA17-70mmF4ALはPentaxには珍しく、(中央部の解像感はSigma 17-70mmに劣るものの)像面湾曲が非常に少ないレンズでどう写してもシャープネスを+2~+3にしておけば周辺部まである程度キッチリ写してくれちゃう(ローパスフィルターレスで1600万画素のK-5IIsなら尚更)。

だからDA17-70mmを使う時は、フィルム時代に近い思考で、(かと言って像面湾曲が全くない訳じゃないから)トップ写真なら2つ目の矢印辺り、日本橋の写真なら構図中央に普通にピントを合わせる事になる。

ぶっちゃけ、Pentax純正の標準ズームレンズを使うなら、アホみたいに高いスターF2.8ズームレンズよりもDA17-70mmをお勧めする。余ったお金でスターズームよりも描写の良い単焦点レンズを追加で買われた方が遥かに用途が広がるだろう。

とにかくズームレンズで遠景を撮る場合は、ほんの気持ち後ピン(駆動量は被写体までの距離やレンズの焦点距離で変化するので必ずテストする事)、これを覚えておけば、お持ちのレンズの周辺の描写力が思った以上にアップする、これを覚えて頂きたい。

あの糞未満と散々悪態を吐いているDA18-55mmF3.5-5.6だってそうやってピントを合わせれば十分に使え、これも主観ではあるが、スターF2.8ズームは値段の割には性能がイマイチなので(受け売りではない、実際に使ってそう感じた)、DA18-55mmに単焦点を揃える方が幸せだろう。そしてどうしてもF2.8ズームが欲しければSigma 17-50mmF2.8を買った方が幸せだ。

自分の写真にどれだけ神経質になれるか?。像面湾曲を運用でどう解消するか、それを考えながら撮影したり、はたまた像面湾曲の少ないレンズを選択したり・・・。こういうのは等倍でチェックしないと判らない。神経質になり過ぎるのもどうかと思うし、一部の気持ち悪いレンズマニアは私も苦手。でも無神経ってのも頂けない。

等倍鑑賞しない人が普段どのサイズでプリントしているか知る術はないが、まぁ大半はA4~A3でしょう。フィルム時代はまだそのサイズで「このレンズの特徴はhogehoge・・・」と語れたものの、今はA3よりも遥かに大きなプリントも可能な時代。となると等倍鑑賞しない人は、本来ならば自分の写真、己の機材に無神経な人じゃないと成立しない。

等倍鑑賞をしない人を責めているんじゃない。そこは人それぞれだ。でも(等倍鑑賞好きを馬鹿にしたような態度で)わざわざ「等倍鑑賞はしませんが・・・」と前置きしつつ、機材に対してあーだこーだと熱く語っているのが変だよねってお話。

再び車に例えると「私は制限速度の100キロを守りますが、フェラーリベルリネッタのV12エンジンは凄いですよ!、最高出力は幾つで、最大トルクがxxx回転で出るからレスポンスがうんたらかたら・・・」とカタログスペック、能書きだけを垂れているのと同じでしょ?。滑稽過ぎるでしょ。


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コメント

  1. funcHM | URL | -

    すげぇかっこいい・・・
    デスクトップの壁紙にもらっていいですか?

  2. BigDaddy | URL | -

    > funcHM さん

    ありがとうございます。

    非営利なら特に制約を設けている訳ではありませんが、この写真をデスクトップですか?(笑)。また長辺960ピクセルですから、壁紙にしたらブロックノイズでませんかね?。

    今後ともどうぞ宜しくお願い致します。


  3. funcHM | URL | -

    自分のPCの画面ちっこいのでぴったりです(笑)

    >今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
    こちらこそよろしくお願いしますm(_ _)m

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