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ボカしたい!

2013年06月22日 00:00

紫陽花のある風景

紫陽花のある風景

Pentax K-5, Sigma AF17-70mmF2.8-4OS HSM

※ブログに視覚要素を加えるlightboxを導入しています。上記画像をクリックすると少し大きな画像をポッ プアップして見る事が出来、暗くなった部分をクリックするか、画像下部のCloseをクリックすると元に戻ります。



本ブログで何度も述べている通り、私はなるべくならば被写界深度を深く取り、全面にピントが合っているように見えている写真が好き。でもたまには背景がボケた写真だって撮りたい。

今日はそんなお話を・・・。

本日のトップ写真、PhotoshopとそのプラグインソフトであるAlien SkinのBokeh 2を使って前景と背景をボカしている。

オリジナルは下。焦点距離55mm(135換算約85mm)で絞りにF4を使っている。本当はトップ写真のようにボカしたかったが、このレンズの55mmの絞り開放がF4だからどうにもならない(最望遠の70mmで撮影すればもうちょっとボケるが)。


参考1


Alien SkinのBokeh 2のサイトを見ると、マウスチョイチョイで簡単にこんな写真を作れると思いきや、どっこい、結構面倒だったりする。

まず塔婆と石垣をPhotoshopのクイック選択ツールを使ってマスクする。クイック選択だからと言って適当に選択していると、背景も選択してしまうので、これだけの作業でおおよそ5分は掛かると思って良いだろう。

今回の写真は風景としては単純なので5分であるが、複雑な風景だったらクイック選択ツールを使ってもなんだかんだと10分くらい掛かってしまう。ブログに掲載する程度の大きさなら、細かい部分をテキト~に処理しても見抜かれないが、これを大きくプリントするとなったらお座なりな作業はすぐにバレちゃう。

そしてこのツールを使ってマスクしたら、そのままプラグインのBokehに渡してやる。すると勝手に下の写真になってくれる。マスクされた部分を残してボカしてくれちゃう。


参考2


これで完成したように見えるが、レンズのボケは背景だけじゃない。前景もボケなくちゃおかしい。だから今度はBokehのツールを使って前景をなだらかにボカす作業をせねばならない。そうしないとカメラ、写真を知っている人を騙せない。

今回の風景は非常に単純なので石垣の左半分をボカしてやれば良いのだが、複雑になるとPhotoshopに戻って今度はグラデーションツール等を使って(Lightroomの段階フィルターのようなもの)、石垣部分をマスクする作業を強いられる。

さらには、もし塔婆でなく自転車、石垣じゃなく金網だったらどうなるだろうか?。PhotoshopはCS5からその手の複雑な物体もある程度簡単に選択する事が出来るが(1本の髪の毛でもマスク出来てしまう)、問題は自転車のスポークと金網の間から見える背景。

つまり、スポーク、金網の網部分をそれこそ1本1本しっかりとマスクしないとブログに掲載する程度の大きさでも、下手にレタッチした写真だと、今度はカメラ素人さんにもバレてしまう。

Photoshop CS5を購入して間もない頃、自転車のマスキング、それこそスポーク1本1本をマスクする事にチャレンジしたが、まぁ大変。なるほど、確かに人や動物をマスクするのはCS4と比較して数倍楽になったが、自転車ははっきり言って無理。仕事でこういう処理を毎日行っている人間でない限り、まず諦めてしまうだろう。少なくとも私には自転車をマスクする根性はないし、仕事でそれを命じられても「頼むから専門の外注使ってくれ!」と懇願する。

※Photoshop CS6にはこのBokehとほぼ同じ効果を作れるボケツールが追加されたが、ボケちゃならない部分をマスクする作業はCS5と何ら変わりない

だから自転車にピントを合わせ、背景の紫陽花を大きくボカしたいのならレタッチ前提で写真を撮っちゃ駄目。背景、前景がより大きくボケてくれる長い焦点距離で撮影するか、APS-Cセンサーでなく、135センサーを持つカメラを使って85mm単焦点レンズのF1.4~F2くらいで撮影するしか術はない。

※ちなみに本日トップの写真は135カメラに85mmレンズを付け、F2くらいを使って撮影したような風景を模倣している

ここで1つ注意事項。たった今、ここで背景をボカしたい時は長い焦点距離を使えと書いたが、仮に70-300mmF4-F5.6レンズの300mmの絞り開放F5.6を使ってこれと同じ構図で写真を撮ったとしよう。果たして紫陽花は大きくボケてくれるか?。

答えはNO。300mmくらいの長焦点レンズだと主被写体(ここでは塔婆)からかなり離れないとこの構図では撮れない。ここだったら30メートル以上離れなくちゃならないかもしれない。そして塔婆から紫陽花までの距離は2メートルくらいだろう。となると、幾ら300mmを使ってもワーキングディスタンスが長過ぎて被写界深度内に紫陽花が入っちゃう。丸で意味がない。

だからこの風景ならば、どうだろうか、70~100mmくらいの中望遠域の絞り開放F4を使って撮影するのが、紫陽花が一番大きくボケてくれるんじゃなかろうか?。また反対に構図を工夫し、石垣を半分くらい削って広角側で被写体に近寄って写真を撮る、その方がワーキングディスタンスはかなり狭まるので、背景がボケてくれる可能性が高い。

しかし、余程、集中して写真を撮っていないと、そこまで頭が回らないんだなぁ(笑)。ズームレンズの場合、焦点距離に神経質になる事はなく、ほとんど感覚的なもの。今回は55mmで撮影しているが、135換算85mm相当になるから、なんて計算はしていない。たまたまである。

「現場では考えられるありとあらゆる事をせよ」

これをついつい忘れちゃう。これを撮影したのは昨年の今頃、すでに撮影した写真はそれが作品ではなく、単なる素材。撮影中に背景がボケなければPhotoshopでボカしちゃえばいいや、と思っていたから構図が決まった瞬間に1枚シュートしそれっきり。

本来なら感覚で55mmで撮影したら、上述の通り、もっと望遠で撮ったらどうなるだろうか、広角で塔婆に近寄って写したらどうなるだろうか、そこまで考える必要があったろう。

そして、そんな事を考えずに普通にパチリしたいのなら、やっぱり135センサーを持つカメラを使わねばならない。

冒頭に書いた通り、私の撮影するほとんどの写真では被写界深度を深く取っている。基本の絞りはF5.6~F8でこれが8割程度を占める。シャッタースピードに余裕があればF5.6よりも開ける事はない。だからこそさらに被写界深度を稼げるフォーサーズ、マイクロフォーサーズの方が本来は用途にマッチしている。

もっと言えば2/3インチ前後の小さなセンサーを持ち、F2レベルの明るいレンズを持ったNikon 1、fujifilm X20やOlympus XZ-2と言ったカメラが一番適しているのだろう。

でも今回の写真のようにたま~に背景をボカしたいぞ!、と思う時もあり、そうなるとコンデジやフォーサーズ系よりもAPS-Cの方が良い。結果、今後もAPS-Cを使うのが自分が思い描く風景にマッチしているなぁと再認識するのだった。

そして運が良い事にボケ味なんて全く気にしないタイプ。とにかくトップ写真程度にボケてくれれば良いってだけで、ならば、手持ちのレンズの中で絞り開放がF1.4~F2の50mm、55mm単焦点レンズがゴロゴロとあるからそれを使って撮りゃいいだけ。

結局、機材云々、こういう風景を撮りたいから何々を買いたいなんてのはしつこいようだが単なる物欲でしかなく、、、

「現場では考えられるありとあらゆる事をせよ」

これを励行すれば多少の妥協はあろうが、おおよそ手持ちの機材で何とかなっちゃうのだった。

無論、物欲が悪いって訳じゃない。そもそも物欲がなくなったら人間おしまいだ。性欲や食欲は歳と共に衰えるだろうが、お財布と相談し、買えるのなら買った方が精神衛生上賢い。そんな私の物欲は若い頃に比べて激減しているだった。ある意味、トホホだ。


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